DAY129 ラストヴァース④ ニューヨーク④ 自然史とSleep no more
ぶつくさ言っているだけではせっかくの旅も楽しめないというものですが、今日は充実した1日でした。
都会はおしなべて制覇しようとするより、どの分野で楽しむかを絞らないとダメなのかなあ。
日本にいても東京を評して「何でもあるということは何にもないのと一緒」と常に言っていましたが、全体を俯瞰しようとするとぼやけてしまうのかもしれません。
となると、僕のニューヨークは芸術分野。
① アメリカン・ミュージアム・オブ・ナチュラルヒストリー(自然史博物館)
芸術分野と言っていいかはわかりませんが、ミュージアムつながりで。
中に入るなり恐竜がお出迎え。
館内は自然、人文、宇宙など複数セクション。
宇宙はちょっと期待はずれ。
人文は南米とアジアオセアニアの充実ぶりが目を引きます。
そして4階建ての最上階には遂に遂に。
やっぱり男子たるもの、恐竜好き。
こんな完全体形式での展示は初めて見ます。
そしてTレックス。
僕の中の小学生男子のハートがこの場から立ち去ろうとしません。
おかげで3時間も滞在してしまいました。
正直に書くと、全然面白くなし。
現代美術展示の割合が多いのですが個人的に現代美術にあまり興味がないのと、中国のパフォーマー団体の特設展示に場所を取りすぎて常設展の作品が削られていたのが原因。
ニューヨークパスで無料だからいいけど、これで通常のお金払っていたら暴れるところでした。
③ Sleep no more
僕はミュージカルが嫌いです。
&どのみち英語で歌われても筋がわかりません。
アラジンとかアナ雪とかのミュージカルなら・・とも思いましたが、どっちの映画も見たことないからストーリーがわかりません。
なのでニューヨークに来てもショーを見るかどうか迷っていたのですが、ある日ツイッターで見かけたこのショーに心惹かれやって来ました。
Sleep no more。
ミュージカルではありません。
シェークスピアのマクベスを下地にした無言劇です。
ファミリー要素皆無ですが、ニューヨークで一番賢い100ドルの使い方とやらに選ばれたそうです。
柏木由紀も見に来て大興奮していました。
ゆきりんはまあどうでもいいのですが。
ブロードウェイより規模が小さいオフブロードウェイ、場所もちょっと外れたチェルシー。
劇場の名は「マキトリック・ホテル」。
外観はこれ。
どう見てもホテル。
入場も「チェックイン」呼称と、徹底。
観客は全員入場したらこのマスクをかぶり、「アノニマス(名無しさん)」になります。
席はありません。
全7階、大小多数の部屋を自由に動き回って、追いかけたり覗き込んだりフラフラしたりしながら各自楽しみます。
Sleep no moreで検索すればたくさん情報が出てくるので説明はこのへんで。
以下、所感等を。
・最低限マクベスのあらすじだけは知っておいたほうがいいです。
・ファミリー要素皆無と書きましたが、そもそも子供不可なはず。動き回るのでお年寄りもどうかな・・・と思います。
実際何人かバテて座り込んでいました。
・きっちりわかりやすい筋書きがないと不満な人はやめたほうがいいです。
→劇場に入ってすぐ、誰が主人公かはわかります。主人公を追いかければ筋はわかったそうですが、僕は脇役やセットを追って勝手に謎解き風に楽しんでいたのであらすじがわかりませんでした。それでも自分なりの楽しみができたので大満足です。
・俳優にさえ触らなければ、セットに触ろうがセットで休もうが俳優の真後ろで背後霊のようにつけまわそうが自由です。
最初遠巻きに見ていた観客たちが、時間が経つにつれストーカーばりにつけまわしたり、ひたすら家探ししている人もいたりで、観客を観察しているのも楽しいです。
なお僕はキャンディー屋のカウンターから飴ちゃん拝借してボリボリ食べていました。(もちろんこれも許されています)
・暗いセット(一部の階は戦慄迷宮かと思った)で、いきなり他の観客と鉢合わせたりするのでお化け屋敷のようで最初はいちいちビビります。
でも声を出したらいけません。
・たまに劇に巻き込まれます。俳優に連れ去られたり。
僕もおばさん俳優にいきなり1人で個室に連れ込まれ、マスクを剥がれて視野を狭める布を被せられ、目の前でセクシーダンスを踊られた挙句最後に牛乳を飲まされるという珍妙な事案に巻き込まれました。
はるか昔、群馬県のお座敷ピ◯サロの個室で長襦袢を着たババアに目の前で踊り狂われた際のトラウマが鮮やかに蘇って小便漏らしそうになったのはここだけの秘密です。
・時間内に3回同じ内容を繰り返すので、同じ場面に遭遇するとタイムリープしたみたいで気が狂いそうになります。たまりません。
ただしラストの回のラストシーンだけはちょっと違います。
後味もの凄い悪いから注意。
・サブカル入った若者〜中年ならば大満足だと思います。
そしてこの小道具のマスク1つでいろんな効果がありますね。
参入している周囲の観客が気にならない、という効果だけでなく、マスクを被った観客が俳優に群がる様は、他人の行動をいちいち監視する現代社会の集合の悪意に見え、劇を構成するいち登場人物にも見えます。
また、途中メガネがずれて何回かマスクを外したのですが、マスクを外してしまうと目の前のことが急に空々しくなってしまいます。
この視界を通して見るということが、劇に没入するための暗示のように作用しているように感じました。
とまあいろいろ書きましたが、ディズニーに背を向けてサブカルで育ったようなあなたはぜひ見てみてください。
なかなか味わえない非日常がそこにあります。
それにしてもこの劇の俳優さん含め、いろんな人が有名になることを夢見ているんだということを肌で感じます。
このニューヨークに何の憧れも感じない僕は、もうショーマンではないということですね。
20代のころに来ていたらこうではなかったんだろうな、と、大人になれたことを憂いつつも喜ばしくも思う、そんな複雑な夜でした。
<今日のワンポイント経験値>
なし。Sleep no more見てみてね。
<今日の支出>
・食費 31ドル
・宿泊 63ドル
・交通費 17ドル
・ショー 147ドル
合計 258ドル